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『女の王国』

このページの構成

【概要】

英題: Far Eastern Queendom
成立: 書き下ろし
古典: 『三国志』魏志、東夷伝・倭人
何?: 古文献の背景
備考: 

【解説】

  【 あるいは Far Eastern Queendom 】
  【 あるいは Queendom ‘Yamatai’ Fantasy 】

 ─ 東海の不淫の国はファンタジー ─

 「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる ─ たくぼく」
 遠く紀元前、秦の始皇帝が出資詐欺の被害に遭います。犯人は道教方士の徐福。東海に蓬莱山あり、仙人が住み、不老不死の秘薬を所有する、という美味しい話を持ち掛けたのだと伝えられます。一方、東海の日本の側では、とんずらした方士徐福が日本に渡っていた、という尾ひれを付けました。
 まだ正式な日中交渉のなかった紀元前、東海の倭国は神秘的な島としか認識されていなかったようです。ちなみに14世紀、マルコ⋅ポーロも日本を黄金の国ジパングという涎が出そうな認識でラテン世界に伝えました。
 百聞も一見には如かず。
 日本に関する現存最古の(詳しい)資料は魏志倭人伝。西紀200年代のその頃になると、日中両国、実際に使者を通わせ、現実的な見聞を持ちます。
 どうやらその頃の中国側男性たちの認識では、東海の日本は女だらけのハーレムみたいなところでした。

古事記17

 魏志倭人伝の主役は邪馬台国。しかしヤマタイ国というより、当の魏志倭人伝はしきりに女王国と呼びます。女王は卑弥呼。倭国大乱が歴年に及んだ末、王として立てられたのだそうです。
 女王ヒミコ、鬼道に事(つか)え、能(よ)く衆を惑(まど)わす。その姿をほとんど見せず、侍女千人が仕える。男子ただ一人、飲食を給し、言葉を取り次ぐため女王の部屋に出入りする。
 侍女ばかり千人の卑弥呼の宮...、いったい魏志倭人伝の作者はどんな宮殿を想像しながら書いたのでしょうか。しかし実際に邪馬台国へ渡った中国側使者や朝鮮使者の見聞記録が基になっているはずなので、だいたい魏志倭人伝の記述どおりだったのでしょう。
 邪馬台国は七万余戸、人は長寿、百歳、80~90歳もザラ、支配層ならば妻は四、五人、ちょっとした平民でも二、三人の妻がある。
 一戸が大所帯だったはずの当時、七万余戸といえば人口にして数十万から百万、倭国全体ではなく、おそらく都市国家であり女王の都だった邪馬台国だけでその人口。
 会同坐起に父子男女の別なし、とも書かれています。
 忠恕孝悌、良妻賢母、仁道と婦道の儒教社会から見れば、女王が支配し、男女がつつしみなく立ち混じる東海の女王国はまだ下等な鬼道倫理しかない未開社会です。しかし、女性が平然と表に出る東海のおおらかな未開国はストレスで疲弊する儒教社会の男性にとって少なからず憧れだったかもしれません。
 中国の詩人、陶淵明がひろめた桃源郷伝説は西紀300年代末の話。もっとも、遠く紀元前に成立している徐福伝説でも、すでに東海の島にこの世の神仙郷がありました。
 風俗淫ならず、盗窃せず、諍訟少なし、婦人淫せず、妬忌せず。人性酒を嗜む。租賦を収む、邸閣あり、国ごとに市場あり、有無を交易し、大倭をしてこれを監せしむ。女王国より以北には特に一大率を置き、諸国を検察せしむ、国中において刺史の如きあり。
 『三国志』陳寿の魏志倭人伝は同時代人である魚豢という人の『魏略』から引用しているそうですが、続いて西紀400年代に成立する後漢書倭伝は大部分においてその魏志倭人伝を参考にしたといわれ、少し輪を掛けています。
 大倭王は邪馬台国に居る。その国、人性酒を嗜む。多く長寿、百余歳に至る者はなはだ多し。国には女子多し。
 後期高齢者が安心して長寿を謳歌し、生物学的法則に逆らって人口の大多数を占める婦女子で華やぐ太古東海の不淫な女王国。(※不淫: 身持ちが固い、また風紀⋅身嗜みが良い、好印象)
 今や国際会議で女性の社会進出の進捗度が叩かれ続ける東海の日本ですが、とんでもない、漢籍正史に現れる伝統的な日本像は世界のどの国よりも行き過ぎた「高齢者と女性の国」であり、そして今も国際社会の一般にアニメなどのサブカルチャーでしか知られない日本像はやはり不自然なほど「女性の国」でしょう。
 もっとも、魏志倭人伝などに描かれる東海の女王国は儒教社会の中年おやぢによる現実逃避のユートピア幻想(ファンタジー)がたくさん盛り込まれていたかもしれません。

May 03, 2017 - サイト管理人




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